アニメ『トリリオンゲーム』より。全員年棒3000万円は正しいのか!?

トリリオンゲームのアニメの更新が終わり、再度見返している現在です。

ファイナンシャルプランナー的には気になるところが多いですが、アニメとしてはやはり面白い。

今日は報酬の取り方についてお話ししていきたいと思います。

目次

10倍!全員年棒3000万円は妥当か!?

売り上げが上がったから、報酬をあげよう!

今回はコミックス5巻にてお話しされている年棒3000万円についてお話しいたします。


株式会社トリリオンゲームはゲーム開発において大きな成功を収めることになり、一月(ひとつき)で3億7500万円の収益を上げることに成功します。

ベンチャー企業の中でも異例の大成功と言えるでしょう。およそ年間で100億円の収益が入ってくることになるとのこと。素晴らしい!

そこで「昇給だ!昇給!!」と盛り上がっている中、役員であるハルから全員の給料を揃えることが提案されます。

「いいね!揃えようぜみんなでサクッと!」

10倍!全員年棒3千万円!」

これはもう社員のモチベーションは爆上がりでしょう。仕事頑張ろう!そんな気になれるはず!

と思ってしまいがちでしょうが、大きな落とし穴があります。

手取りに関する描写がない!

そう。手取りのことが一切書かれていないのです。

皆様も会社などからお給料をもらっていると思います。年末にもらう源泉徴収票などをみると、思ったよりも手取りが少ないと感じる方も多いのではないでしょうか。

この年棒の報酬に関しても例外ではありません。

法人からもらうお金は給料ですから、社会保険料や所得税・住民税を支払う必要が出てきます。

実際に計算してみましょう。

年収3000万円の手取りを計算してみた

手取りの計算

アニメや漫画では3000万円で盛り上がっていますが、冷静に計算をしてみます。野暮ですが大事なお話ですので。。

まず給与が3000万円ですが、社会保険料がかかります。これが年間約154万6千円です。

そして3000万円に対する所得税と住民税がおよそ1062万4千円!

つまり給与の手取りは1782万9千円です。 

す、少ない!!

しかも社会保険料は労使折半のため、法人での社会保険料の支払いも一人当たり154万6千円がかかります。

従業員が10名であれば年間1546万円が法人の財布から社会保険で出ていってしまうわけです。

現金手渡しという暴挙

さらに、インパクトを与えたのが全員への現金手渡しです。

最初だけな!と言いつつ、現金で手渡ししています。年棒を月割していれば250万円ですが、漫画を見るかぎり役員のハルの手元にあるお金はざっと700万円程度。

これはおそらく年棒を一気に渡したと言うことでしょう。

これはまずい!

現段階で税理士はついていないように感じますので、源泉徴収で税金を引いているかどうかもあやふやです。

もし、源泉徴収なしの場合は自分で確定申告をする必要がありますが、そのための納税資金などきちんと準備できているでしょうか。。。

ベンチャー企業あるあるですが、財務の防御力がボロボロになりがちです。

もしこの会社に勤めるのであればある程度の金融リテラシーは必要でしょう。

もし適正に報酬を払うのであれば、どうすれば良かったか?

法人税の低さをうまく利用しよう!

では実際にどうすれば彼らの手取りは増えたのか。

ある程度は法人に貯めておくべきでしょう。現状の法人税は800万円までは実効税率が23%程度、また800万円以上では33%程度に収まっています。

つまり法人で利益を置いておいた方が税率が低く済むわけです。

よってまずは法人にお金をいくらか置いておくようにしておき、年棒はせめて1000万円程度までに抑えておくのが良いです。

またこのようなベンチャー企業は来年も資金繰りが良いとは限りません。

ある程度会社に資金を残しておくことも必要でしょう。

退職金を活用する手もある

また、社内規定に退職金制度を組み込むことも有効です。

退職所得は所得税の中でもかなり優遇された制度です。

現状(2025年4月7日現在)、勤続年数20年であれば800万円の退職金が非課税で受け取ることができ、また21年目以降は、年間70万円が非課税となります。

仮に勤続年数が40年であれば800万円+70万円×20年=2200万円が非課税で退職金を取ることができ、かつそれを超えた分に関しても半分しか課税されません。

ハルのような勢いのあるベンチャー企業の社長が長く勤続するとはあまり考えられませんが(現に後に退職することになる)長く勤めるなら退職まで給与を繰り延べるのも良いでしょう。

皆様も会社の退職金制度はよくチェックしておいてくださいね!

会社員の方であれば、確定拠出年金のDCやイデコなどは退職金に大きく関わってきます。

イデコが気になる方は以下の記事もご覧ください。

まとめ

漫画の世界に手取りの話を持ち込むのは野暮です。

ですが、実際には税務はややこしく、法人においては黒字倒産するところも多々あります。

また個人の方でも年収が高すぎるが故の悩みもあるでしょう。

どんな方でも国の制度や所得税のことなど知っておいても損はありません。

漫画を読んでいる人で、1つでも勉強になった!と思っていただけたら、本当に嬉しいです!

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この記事を書いた人

元銀行員。現ファイナンシャルプランナーです。
金融について思ったことを書いてます。

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